東京女子医科大学は世界でただ一つの女性のみが在籍できる医学部です。その附属病院では、過去に複数の重大な医療事故が発生しています。以下に、主な事件を時系列で詳細にまとめます。
1. 2001年:人工心肺装置事故
概要:
2001年3月2日、12歳の女児が心臓手術中に人工心肺装置のトラブルにより脳障害を起こし、3月4日に死亡しました。
詳細な経緯:
• 手術中の異常: 手術中、人工心肺装置の脱血不良が発生し、患者の脳に十分な酸素が供給されず、脳障害を引き起こしました。
• 内部告発: 手術後、内部告発により、助手が吸引ポンプの回転を上げたことが原因とする報告がなされました。
• カルテ改ざん: 手術記録の改ざんが明らかになり、2002年6月28日、人工心肺装置を操作した助手が業務上過失致死容疑で、講師が証拠隠滅容疑で逮捕されました。
• 裁判結果: 助手は無罪、講師は懲役1年・執行猶予3年の有罪判決を受けました。
• 行政処分: 厚生労働省は2002年7月、病院の特定機能病院の承認を取り消し、2006年11月には元講師の保険医登録を取り消しました。
• 再承認: 2007年8月、安全管理体制の改善と遺族の理解を得て、特定機能病院として再承認されました。
2. 2014年:プロポフォール過量投与事故
概要:
2014年2月18日、2歳10ヶ月の男児が頸部嚢胞性リンパ管腫の手術後、集中治療室(ICU)で鎮静目的で使用が禁忌とされるプロポフォールを長時間投与され、2月21日に死亡しました。
詳細な経緯:
• 手術とICU入室: 男児は手術後、ICUに入室し、人工呼吸管理が行われました。
• プロポフォール投与: ICUでは、鎮静目的でプロポフォールが長時間にわたり投与されました。
• 死亡: 2月21日午後7時59分、男児は死亡しました。
• 調査報告書: 病院は調査報告書を公表し、プロポフォールの投与が死亡の一因である可能性を指摘しました。
• 特定機能病院の承認取り消し: この事故を受け、2015年5月、厚生労働省は病院の特定機能病院の承認を再度取り消しました。
3. 2024年:同窓会組織「至誠会」をめぐる不正問題
概要:
2024年3月、東京女子医科大学の同窓会組織「至誠会」において、勤務実態のない職員への給与支払いなどの不正が発覚し、警視庁が特別背任容疑で家宅捜索を行いました。
詳細な経緯:
• 不正の内容: 勤務実態のない職員への給与支払い、同窓会職員を大学に出向させての給与の水増し・架空請求、関連企業への多額の業務委託料支払いなどが指摘されました。
• 理事長の関与: 当時の理事長がこれらの不正に関与していた疑いが持たれています。
• 大学への影響: これらの不正により、大学の経営や信頼性に深刻な影響が及びました。
これらの事件は、東京女子医科大学病院の医療安全管理体制や組織運営に対する信頼を大きく損なうものでした。再発防止と信頼回復に向けた取り組みが引き続き求められています。
至誠会とは?
一般社団法人至誠会(しせいかい)は、東京女子医科大学医学部の卒業生によって構成される同窓会組織です。初代会長は、東京女子医科大学の創設者である吉岡弥生氏が務めました。
主な活動内容:
• 同窓生間の交流促進: 会員同士の親睦を深めるためのイベントや情報共有を行っています。
• 医療機関の運営: 東京都世田谷区にある至誠会第二病院や、至誠会看護専門学校の運営を手掛けています。
• 助成金の支給: 医学研究や医療活動に対する助成金を提供し、医療の発展に寄与しています。
また、至誠会は東京女子医科大学と密接な関係を持ち、大学の関連組織・団体として位置付けられています。
さらに、社会福祉法人としての側面も持ち、新宿区や荒川区で保育園を運営し、地域社会への貢献も行っています。
近年、至誠会に関連する不正問題が報じられ、組織運営や大学との関係性について注目が集まっています。
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